『とんび』(重松清)のおすすめ書評

小説から実用書まで書評をします。

今回の1冊は『とんび』です。
著者は重松清です。

TBSとNHKでテレビドラマ化される人気作品です。
父子の成長を描いたハートフルな作品です。

『とんび』の概要

『とんび』

『とんび』
没入感
(3.0)
メッセージ
(4.5)
ハートフル
(5.0)
総合評価
(4.0)

 

『とんび』のざっくりあらすじ

高度経済成長期の広島を舞台にした物語です。
主人公のヤスさんは最愛の妻、美佐子さんと子供のアキラと幸せな生活を送っていました。

ヤスさんは仕事に精を出し、人生を謳歌します
休みはアキラの成長を美佐子さんと見守り、生涯最高の時を過ごします。

ある日、ヤスさんの職場へ訪れた美佐子さんとアキラ。
その職場で突然の事故に見舞われ美佐子さんはアキラを庇い亡くなります。

最愛の人を失ったヤスさん。
父一人、子一人で互いに支え合いながら暮らしていきます。

ヤスさんを取り囲む職場、幼馴染、地域の人はみんな温かくヤスさん親子を見守ります。
無骨で漢気溢れるヤスさんは時に不器用になりながらも真っ直ぐにアキラを育てます。

アキラはすくすくと優秀で気の優しい青年へ成長します。
母を亡くしたアキラ、その理由や父との関係に変化も生じ始めます。

転と結のキーワード
転:アキラの巣立ち
結:子育てを終え、新たな子育てがまた始まる

『とんび』のここが凄い!

無骨だが実直な父親像

この物語はヤスさんの子育てを追ったストーリーです。
端的なストーリー内容で大きな山場は序盤の美佐子さんの死くらいです。

しかし、ヤスさんという人柄に魅せられて、何か物語に没入させられます。
無骨で粗野、実直に物事にぶつかるヤスさん。

スタイリッシュな息子のアキラとは対照的に描かれています。
単に「鳶が鷹を生む」だけの話ではありません。

いい意味で「昭和の頑固おやじ」の姿を具現化した古き良き人物です。

子育て世代の父親にはヤスさんという父親像もあるのだと学びとなるでしょう。

ハートフルが止まらない

本作品の最大のうりはハートフルです。
登場人物全員がヤスさんとアキラの父子家庭を温かく見守っています。

そこには現代の人間関係の希薄さとは対照的な前時代的で少しお節介な人間関係があります。

悪意のない綺麗な世界といえば、聞こえはいいです。
その環境を創り出したのもまた、ヤスさんの人望なのだと感心しました。

『とんび』の論評

論評:1

実業家の堀江貴文さんは収監中に膨大な量の本を読破したと言います。
その中で最も印象的で、涙を流したのが本作品だと言います。

「あのホリエモンが滂沱の涙を流した」という触れ込みだけで、断然と読みたくなってしまいますね。
堀江さんはアキラが上京するシーンで涙腺が崩壊したのだとか。

確かに上京シーンはなにか寂寞を感じました。
親心を知らない小生でも、子供を持ちたいなという僅かな気持ちも発芽しました。

論評:2

小生的には嫌いじゃない作品です。
何事も起きずに、登場人物の機微を汲み取る作品が好きなので、好きな作品に位置付けられました。

美佐子さんを早い段階で失ったことによる傷心的なダメージが大きかったですが、物語の構成上仕方ありませんん。
そこからはヤスさんの周辺人物の人情が作品の面白さを担保しました。

気になるところは、終盤の怒涛のようなヤスさんの行き場のない無骨さをもう少し融和に解決してあげればより、納得の展開だったと思います。

 結論

ハートフルに渇望している人にとっては、間違いなくささる作品です。
特に子育て世代の父親に送りたい作品です。

また、故郷を離れる若者へも故郷の温かみを思い返すために呼んで欲しい作品です。

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