ジェノサイドの歴史『ホテル・ルワンダ』をレビュー

『ホテル・ルワンダ』は1994年よりルワンダで勃発したジェノサイドを描いた映画です。
ホテルに匿ったポール・ルせサバギナの実話が基の映画です。

今回は大量虐殺の歴史を描いた衝撃作『ホテル・ルワンダ』をレビューします。

『ホテル・ルワンダ』の概要

『ホテル・ルワンダ』の舞台

『ホテル・ルワンダ』はルワンダの首都キガリにあります。
「オテル・デ・ミル・コリン」という名のホテルを舞台にしています。

1994年に起きたルワンダ虐殺を元にした映画です。
ルワンダではフツ族過激派が同族の穏健派とツチ族を80万人以上虐殺するというジェノサイドが勃発します。

未曾有の大量虐殺の中でホテルに難民を匿ったというストーリーです。
虐殺シーンはショッキングな映像が続きます。

RTLM局放送

物語の始まりは、RTLM局放送のラジオ音声から始まります。
音声ではフツ族のツチ族に対する暴力を扇動しています。

RTLM放送局は、物語中に度々、登場します。
「ミルコリンヌ・自由ラジオテレビジョン」という名で、識字率の低いルワンダにおいて最も虐殺を助長したマスメディアと言われてます。
ヘイトスピーチの温床です。

RTLM局はフツ至上主義者によって開局されました。
人気歌手によるフツ・パワーの提唱、ラジオDJによる人種差別ジョークを交え放送します。

フツ族には今までにない魅力的な放送として、放送局は人気を獲得します。
RTLM局が大量虐殺を統制する結果に繋がりました。

虐殺期にラジオで「今日も仕事に行こう」と表現した「仕事」とはツチ族を殺しに行くことを指しています。

『ホテル・ルワンダ』のストーリー

フツ族の行進

物語の主人公は「ホテル・ミル・コリン」のホテルマン、ポール・ルセサバギナです。

ポールはツチ族の従業員を連れて、フツ族民兵の副議長の男へ、ホテルの必要資材を仕入れに行きます。
その帰り道にフツ族の民兵は、皆キテンゲと呼ばれる民族衣装を纏い行進をしていました。

フツ族の行進は非常に威圧的に描かれています。
ツチ族のホテル従業員は恐怖を感じていました。

フツ族による行進は、MDR、ワコンポジという複数の団体によって行われています。

MDRはハビャリマナ大統領への反対組織でした。
ハビャリマナ大統領は暗殺され、これを契機にルワンダ虐殺が勃発します。

 

虐殺開始

4月6日の夜、ハビャリマナ大統領が乗った飛行機が撃墜されます。
これを契機にジェノサイドが始まります。

ポールはジェノサイドが始まる直前まで「民族間の虐殺はあり得ない」と考えていました。
アルーシャ(タンザニア)で結ばれたルワンダ政府(フツ族)とルワンダ愛国戦線(ツチ族)の間で和平調停が結ばれていたからです。

和平調停はルワンダ政府内にRPF(ルワンダ愛国戦線)の人材を入れる政治運営でした。
この調停案はルワンダ国内のフツ強硬派と急進派勢力の強い反対を生みました。

内戦は再度激化の様相を見せて、フツ至上主義の組織的虐殺は急速的な広がりをみせました。

まず犠牲となった人たちは、フツ至上主義に対抗していた政治家、実業家などの権力者。
フツ族の過激活動を批判的に評したジャーナリスト、人権活動家が標的です。

敵対組織の有力者、メディアを潰していく過程がとても組織化された虐殺だといえます。
フツ至上主義はRTLM局を通じて、大統領機墜落事件をRPF(ツチ族)のせいにし「ゴキブリであるツチを始末せよ」と、フツ族の一般人を虐殺の現場へと導きました。

組織化された虐殺

物語は、虐殺が始まり数日経過すると、大勢のツチ族やフツ族穏健派の人々がホテルへ押し寄せます。
ホテルには、国連軍が在中しており、その武力を頼り難民が集いました。

国連軍には大量虐殺を止めるための武力行使は許可されていませんでした。
国連軍の任務は平和の維持ですが、実際は虐殺を前になす術がありませんでした。

国連は4月14日安全保障理事会を開催し、ルワンダ現地に残る国連軍の撤退に関する投票を行います。
投票の結果は、国連軍の全面撤退が採択されました。

ここでの投票の主導権は、アメリカ、イギリス、ベルギーが握っていました。
この時のルワンダ国連大使は、フツ族過激派で大量虐殺をしていた組織の一員です。

投票の背景にはそれぞれの国の

アメリカは、ルワンダでの虐殺期以前にソマリア内戦で18人の米兵が命を落としていました。
他国での武力介入に消極的な姿勢を取り、ルワンダへの介入も消極的になります。

虐殺が始まった日、穏健派フツ族であるアガト・ウィリンジマナ首相が暗殺されました。
その際に、首相の護衛していたベルギー人で大統領警護隊の国連PKF兵士10人が殺害されていました。

この事件を契機にベルギーや他の多くの国が国連軍を撤退させる意向に変わりました。
ルワンダ暫定政府、フツ族民兵は、欧米の兵士を殺せば、国連軍が撤退することを知っていました。

残酷な事実

「ホテル・ミルコリン」には、最新装備を積んだ各国の軍が自国の国民を救助しに来ます。
この護送車にはルワンダ人は乗ることが出来ません。

ホテルに護送車が来るシーンは当時の状況をより忠実に再現されたシーンの1つです。
印象的なのは、護送車に犬を抱えた白人女性が窓の外を見ていた1コマです。

その犬は、大使館で飼われていた犬です。
人間が乗れずに、犬が救助されるというのは考えさせられる一幕です。

『ルワンダの涙』でも、国連軍が目の前で虐殺を繰り返す人を攻撃できずに野犬を討伐することしか出来ないをの悔やんでいました

その後、「ホテル・ミルコリン」に避難した人々は国連の救出作戦を経て難民キャンプへ到着します。
そして、避難民の受け入れをした国へと散らばっていきます。

物語はここで終わります。
その後7月4日にRPFはルワンダ首都のキガリを制圧し、同月18日にRPFの司令官カガメによって、ルワンダ内戦は終結宣言がされます。

結果的にこの内戦の犠牲者数80万人程に達しました。

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