医療現場の内実に迫る 『ブラックジャックによろしく』をレビュー

漫画をレビューしていきます!
今回は『ブラックジャックによろしく』す。

医療現場の内実、患者、医師の葛藤を描いた社会派タッチの漫画です。
シビアな日本の医療現場、大学病院の実態を切り取って描いています。

『ブラックジャック』や『医龍』といったバンバン手術をする王道の医療漫画ではありません。。

第6回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞受賞作品です。

『ブラックジャックによろしく』レビュー

『ブラックジャックによろしく』
没入感
(2.5)
メッセージ
(4.0)
医療知識
(5.0)
総合評価
(2.5)

ざっくりレビュー

日本の大学病院や医療現場を描いた漫画です。

主人公は医学部を卒業したばかりの研修医、斉藤英二郎です。
医療に情熱を注ぐ斉藤先生の理想と暗い現実が蔓延る医療現場の葛藤を描きます。

病に囚われた患者とその家族のナイーブな一面を「研修医」という染まっていない医療従事者という視線から描きます。

大人の都合で、正義や理念が捻じ曲がった医療機関を浮き彫りにしています。

作者

作者は佐藤秀峰先生です。
代表作に『海猿』があります。

 

 

『ブラックジャックによろしく』の見所

ここが凄い!

設定が秀逸

『ブラックジャックによろしく』は設定が秀逸です。

主人公が研修医です。
研修医という立場なので、配属される科はローテーションになります。
「外科→内科→新生児集中治療室(NICU)→がん医療→精神科」と様々な角度から医療現場を映し出すことに成功しています。

この辺りに設定の妙を感じます。

それぞれの科により、抱える問題や患者、医師の苦悩は異なります。
ゴリゴリに手術をする外科手術マンガではありません。

医療現場の内面に触れたい人におすすめの一冊です。

注意
ゴリゴリの手術シーンはほとんど登場しません

 

精神科編が凄い

精神病編では、今まであまり扱われなかった”精神病”というセンシティブな題材を扱います。
マンガの最終章として、登場するだけあり、力の入れようが伺えます。

メインで統合失調症患者を題材として扱います。
統合失調症患者の苦悩や精神病患者への社会的蔑視を学ぶことできます。

精神病=犯罪者予備軍」という社会のレッテルを覆そうというメッセージ性は一読の価値があります。

『ブラックジャックによろしく』名シーン

新生児集中治療室(NICU)編

NICU編は、未熟児として生まれた双子の新生児を患者です。

双子の父親が、偏狭な思考を持っていて、未熟児の受け取りを拒否するシーンから物語が始まります。
父親からの拒絶を受けたものの未熟児の子供は一生懸命に生きます。

そんな中、双子の受け取りに奔走する斎藤先生。
双子の母親は母性によって、双子への想いを募らせます。

拒絶する父親、夫に抗えない母親、未熟児の中、懸命に生きる双子。
新生児の生命力と障がいを持つ子の親の気持ちの一端を考えさせられます。

キーワード
『ボクハ生キル…』

 

がん医療編

がん医療に配属された斎藤先生。
膵癌を患った主婦の余命を描きます。

致死率の極めて高い膵癌を題材に扱い、日本における抗がん剤治療の是非を問います。
限られた可能性に懸けて、未承認薬を投与するシーンは、最注目場面です。

物語後半は、がん患者の緩和ケアやQOD(死の質)を考えさせてくれる良質な話です。
子供を残して、この世を去る親の心構えの一端を学べます。

キーワード
『この人はなにも知らずに死んでいくんだ…!』

 

精神科編

物語のクライマックスとして登場するのが精神科編です。
斎藤先生は精神病棟に勤務します。

精神病棟では、重度の精神疾患を患った患者が集団生活をしています。
症状の酷い患者は、個室で拘束措置を施します。

物語の中心は、統合失調症患者の小沢(男)と早川(女)です。
小沢が早川に恋をするところから、物語始まります。

恋を通じて、病気が緩和したと思えば、偶発的な社会現象から再度、病魔に引きずり込まれたりと精神病の辛さを巧みに描いています。

物語の後半は、池田小事件をモチーフにした精神病患者への社会的蔑視を題材として扱います。
精神病患者=犯罪者予備軍という間違った社会のレッテル貼りを糾弾していくシーンは熱を帯びていてとても読み応えがあります。

 

結論

『ブラックジャックによろしく』は今までとは違った医療漫画ですが、とても読み応えのある社会漫画です。
医療制度や技術に関しては、やや古いものになりますが、医療現場の軋轢や葛藤を学ぶことが出来ます。

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